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あしあと

    民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

    • 初版公開日:[2026年03月01日]
    • 更新日:[2026年3月11日]
    • ID:6400

    民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)

     父母が離婚後も適切な形でこどもの養育に関わりその責任を果たすことは、こどもの利益を確保するために重要です。

     令和6年5月17日に民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立し、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールが見直されました。

    親の責務に関するルールの明確化

     父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。

    こどもの人格の尊重

     父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。その際には、こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。

    こどもの扶養

     父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。

    父母間の人格尊重・協力義務

     父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。次のような行為は、この義務に違反する場合があります。

    • 父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴等
    • 父母の一方が、他方による日常的なこどもの監護に、不当に干渉すること
    • 父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
    • 父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が、特段の理由なく、その実施を拒むこと など

    ※違反した場合には、親権者の指定または変更の審判、親権喪失または親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。

    ※DVや虐待から避難するために必要な場合などはこの義務に違反しません。

    こどもの利益のための親権行使

     親権(こどもの面倒をみたり、こどもの財産を管理したりすること)は、こどもの利益のために行使しなければなりません。

    親権に関するルールの見直し

    父母の離婚後の親権者

     父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになります。

    親権者の定め方

    1.協議離婚の場合

     父母が、その協議により、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。

    2.父母の協議が調わない場合や裁判離婚の場合

     家庭裁判所が、父母とこどもとの関係や、父と母との関係などのさまざまな事情を考慮した上で、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。この裁判手続では、家庭裁判所は、父母それぞれから意見を聴かなければならず、こどもの意思を把握するよう努めなければなりません。

     次のような場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。

    • 虐待のおそれがあると認められるとき
    • DVのおそれその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき 

    親権者の変更

     離婚後の親権者については、こどもの利益のため必要があると認められるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更をすることができます。

    親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)

     父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されています。

     1.親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。
     2.監護教育に関する日常の行為をするときやこどもの利益のため急迫の事情があるときは、親権の単独行使ができます。

     3.特定の事項について、家庭裁判所の手続で親権行使者を定めることができます。

    監護教育に関する日常の行為

     日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、こどもに重大な影響を与えないものをいいます。

    日常の行為に当たる・当たらない例
     日常の行為に当たる例(単独行使可)日常の行為に当たらない例(共同行使) 
    ・食事や服装の決定
    ・短期間の観光目的での旅行
    ・心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
    ・通常のワクチンの接種
    ・習い事
    ・高校生の放課後のアルバイトの許可
    ・こどもの転居
    ・進路に影響する進学先の決定
    ・心身に重大な影響を与える医療行為の決定
    ・財産の管理(預金口座の開設など)


    こどもの利益のため急迫の事情があるとき

     父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合をいいます。急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行うことができます。

    【急迫の事情の例】

    • DVや虐待からの避難(こどもの転居などを含む)をする必要がある場合
    • こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
    • 入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合  など

    親権行使者の指定

     父母が共同して親権を行うべき特定の事項について父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が父または母の請求により、父母の一方を当該事項に係る親権行使者に指定することができます。親権行使者は、その事項について単独で親権を行うことができます。

    監護についての定め

    父母の離婚後のこどもの監護に関するルールが明確化されています。

    監護の分担

     父母が離婚するときは、こどもの監護の分担についての定めをすることができます。この定めをするに当たっては、こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。

    【監護の分担の例】

    • 平日は父母の一方がこどもの監護を担当し、土曜日、日曜日祝日は他方が担当するといった定めや、父母が週ごとに交互に子を監護するといった定め
    • こどもの教育に関する決定は一方の親に委ねるが、その他の重要な事項については父母が話し合って決めることとするといった定め

    監護者の権限

     離婚後の父母双方を親権者とした場合であっても、その一方を監護者と定めることでこどもの監護をその一方に委ねることができます。

     このような定めがされた場合には、監護者は、日常の行為に限らず、こどもの監護教育や居所・職業の決定を単独ですることができます。監護者でない親権者は、監護者がこどもの監護等をすることを妨害してはなりませんが、監護者による監護等を妨害しない範囲であれば、親子交流の機会などにこどもの監護をすることができます。

    養育費の支払確保に向けた見直し

    合意の実効性の向上

     これまでの民法では、父母間で養育費の支払を取り決めていたとしても、養育費の支払がなかったときに養育費の支払義務を負う親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判書などの債務名義が必要でした。

     今回の改正により、養育費債権に先取特権と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。養育費のうち先取特権が付与される上限額は、子一人当たり月額8万円です。なお、民法等改正法の施行前に養育費の取決めがされていた場合には、施行後(令和8年4月1日以降)に生ずる養育費に限って先取特権が付与されます。

    暫定的に請求することができる養育費(法定養育費)の新設

     これまでの民法では、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を決めなければ養育費を請求することができませんでした。

     今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は他方に対して、暫定的に一定額の養育費を請求することができるようになります。その額は、子一人当たり月額2万円です。また、この暫定的な養育費の支払がされないときは、差押えの手続を申し立てることができます。なお、改正法の施行後に離婚した場合にこの暫定的な養育費を請求することができます。

    裁判手続の利便性向上

     養育費に関する裁判手続きでは、各自の収入を基礎として、養育費の額を算定することとなります。今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。

     養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申立てで、財産開示手続、情報提供命令、債権差押命令という一連の手続を申請することができるようになります。

    安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

    親子交流の試行的実施

     家庭裁判所は、調停・審判においてこどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。その際には、適切な親子交流を実現するため資料を収集して調査したり、父母との間でさまざまな調整をします。こうした調査や調整に当たっては、手続中に親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握することが望ましい場合があります。今回の改正では、親子交流の試行的実施に関する制度が設けられました。

    婚姻中別居の場合の親子交流

    父母が婚姻中に、さまざまな理由により、こどもと別居することがありますが、これまではそのような場合の親子交流に関する規定がありませんでした。今回の改正では、婚姻中別居の場合の親子交流について次のようなルールを明らかにしています。

    1. 婚姻中別居の場合の親子交流については父母の協議により定める。
    2. 協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定める。
    3. 上記2項目については、こどもの利益を最優先に考慮する。

    父母以外の親族とこどもの交流

     これまでの民法には父母以外の親族とこどもとの交流に関する規定はありませんでした。今回の改正では、こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は父母以外の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができることとしています。

     また、こどもが父母以外の親族と交流をするかどうかを決めるのは原則として父母ですが、ほかに適当な方法がないときは、祖父母、兄弟姉妹、過去にこどもを監護していた親族が自ら家庭裁判所に申立てをすることができるようになります。

    財産分与に関するルールの見直し

    財産分与の請求期間

     財産分与は、夫婦が婚姻中に共に築いた財産を、離婚の際にそれぞれ分け合う制度です。財産分与は、まずは夫婦の協議によってきめますが、協議が成立しない場合は、家庭裁判所に対して財産分与の請求をすることができます。

     今回の改正により、財産分与の請求をすることができる期間が離婚後2年から離婚後5年を経過するまでとなりました。

    財産分与の考慮要素

     これまでの民法では、財産分与に当たってどのような事情を考慮すべきかが明確に規定されていませんでした。今回の改正では、財産分与の目的が各自の財産上の衡平を図ることであることを明らかにしたうえで、考慮要素を例示しています。

    【例示された考慮要素】

    • 婚姻中に取得または維持した財産の額
    • 財産の取得または維持についての各自の寄与の程度
    • 婚姻の期間
    • 婚姻中の生活水準
    • 婚姻中の協力及び扶助の状況
    • 各自の年齢、心身の状況、職業、収入

    裁判手続の利便性の向上

     財産分与に関する裁判手続では、分与の対象となる財産の種類や金額を明らかにする必要があります。今回の改正では、手続をスムーズに進めるために家庭裁判所が当事者に対して財産情報の開示を命じることができることとしています。

    養子縁組に関するルールの見直し

    養子縁組後の親権者

     未成年のこどもが養子になった場合には、養親がそのこどもの親権者となり、実親は親権を失います。複数回の養子縁組がされた場合には、最後に養子縁組をした養親のみが親権者となります。

     離婚した実父母の一方の再婚相手を養親とする養子縁組の場合には、養親(再婚相手)とその配偶者である実親が親権者となります。この場合には、実父母が離婚後に共同親権の定めをしていたとしても、他方の親権者は親権を失います。

    養子縁組についての父母の意見調整の手続

     15歳未満のこどもが養子縁組をするときは、そのこどもの親権者が養子縁組の手続を行う必要があります。これまでの民法では、父母双方が親権者であるときに、その意見対立を調整するための規定がなく、父母の意見が一致しなければ養子縁組をすることができませんでした。

     今回の改正では、養子縁組の手続に関する父母の意見対立を家庭裁判所が調整するための手続を新設しています。

     家庭裁判所は、こどもの利益のため特に必要があると認められるときに限り、父母の一方を養子縁組についての親権行使者に指定することができるようになります。親権行使者は、単独で養子縁組の手続を行うことができます。

    参考リンク・パンフレット(法務省・こども家庭庁)

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